小学校6年生のPOMと4年生のKAULは、ローカル線を乗り継いでおじいちゃんおばあちゃんの住む“風の街”に行ってみることにしました。
いつもは、お父さんの運転する車で行くのですが、今回は、自分達で電車の時刻や乗り継ぎ駅を調べ、二人だけで計画を立てるようにように言われていました。
“風の街”は、お母さんが育った街です。
隣に住んでいるKおじいちゃんとおばあちゃん(父親の両親)は、二人だけでローカル線を乗り継いて出かけることに大反対だったようです。
結局、お母さんが折れて新幹線に乗せてくれ、東京駅まで“風の街”のおばあちゃんが迎えに来てくれました。
新幹線の改札を出るとPOMは、色分け表示された線を目当てにどんどん進んで行きます。
その後ろを妹のKAULが歩き、そのまた後ろをおばあちゃんがついて歩きます。
細くて小柄なPOMですが、サッカーで鍛えられているせいか、速くて二人は追いつけません。
「お兄ちゃん!待って!」
KAULが、時々呼び止めます。
新幹線を降りた後は、Kおじいちゃんたちが心配することなんて何もありませんでした。
無事にじいじが待つ“風の街”のマンションに到着しました。
部屋番号を押さずにキーを使って共同玄関を開け、郵便受けの開け方も番号を回して開けることを覚え、すっかり風の街の子になりきって生活していました。
お母さんからの至上命令は、宿題をしっかりすることでした。
POMは、自由研究で<海のプランクトンを顕微鏡で見ること>と読書感想文です。
KAULは、自由研究で<雷のできるまでを調べること>と読書感想文です。
宿題の面倒は、風の街のじいじが担当することになっていました。
到着したその日は、お決まりの毎でスーパーのゲームセンターで思いっきり遊びました。
翌日は、すぐ宿題に取り掛かかっていました。
最初に
海水を汲みに行って、じいじが準備してくれた顕微鏡でプランクトンの観察です。

プランクトン採取用のネットが無く、海のプランクトンは取れませんでした。
そこで、液状化でまだ修復されていない公園の中の、少しだけ残った流れの水を汲んで来てプランクトンの観察をしていました。
ワミジンコの一種を見ることができたようです。
ちょろちょろと動き回ってしまうミジンコを観るために、コットンの繊維を12-3本抜いてスライドグラスに乗せ、そこにスポイドで一滴落として観ていました。

KAULの方が、熱心にいつまでも顕微鏡をのぞいていました。
二人で顕微鏡のセット方法を教えてもらい、車で1日だけやって来たお父さんに顕微鏡を持って帰ってもらいました。
KAULの“雷”については、雲の種類から教えてもらっていましたが、暑い夏空には入道雲も見えず、本屋さんで百科事典を買ってきて写真や図を見ながら説明を聞いていました。
POMもプランクトンの載っている百科事典を買ってもらい、顕微鏡と一緒に父親の車で運んでもらうことにしました。
読書感想文も、集中力を切らさずよくやっていました。
集中して宿題に取り組んでいる様子を知って、母親が驚いたようです。
まるで、宿題合宿に来ているようでした。
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